交通事故における素因減額について その1

交通事故で損害を蒙った被害者が賠償請求する場合、事故の類型に応じて過失相殺がされる可能性があることは以前に説明しました。

これと同じような概念として素因減額という考え方があります。これは、被害者が負った傷害や後遺障害について、当該被害者が主に事故前より有していた事由が損害の発生や拡大に影響している場合に、賠償すべき金額を決定するにあたり、当該事由を考慮して一定の減額をすることを意味します。

例えば、追突事故に遭って頸椎捻挫の傷害を負い、重度の頚部の痺れといった後遺障害が残存したという事案において、被害者が事故前より頚椎に傷害があった場合に、事故前の症状等に鑑みて一定の減額をするというものです。

この点、身体的要因による素因減額は、以下の点を考慮して判断するものとされています。

1 事故の前から存在した被害者の疾患が損害の発生または拡大に寄与していることが明白である場合には、賠償すべき金額を決定するにあたり、当該疾患を斟酌することができる。

2 加齢的変性については、事故前に疾患といえるような状態であったことが認められない限り、斟酌しない。当該年齢の人間に通常見られる加齢性の変化を理由に減額するのは相当ではない。

3 病名が付けらるような疾患には当たらない身体的特徴であっても、疾患に比肩すべきものであり、かつ、被害者が負傷しないように慎重な行動を求められるような特段の事情が存在する場合(例えば極端な肥満などの場合)、当該身体的特徴を斟酌することができるが、極めて例外的な場合に限られる。

2012/01/15 16:37

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